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桐生の体が跳ね上がった
あれ?
声は出なかった
信号守ったのに……守ったから?
就職決まった……のに
桐生が意識を失った
そして、もう二度と、この体が意識を宿すことはなくなった
2分後…電話をしていた友人が息をきらせてやってきた
桐生の家を出てすぐ雨が降り出したが、傘など取りに戻る暇はなかった
人通りも車通りも少ない道に、見慣れない人だかりと渋滞が発生していた
「桐生!」
雨に濡れた桐生が救急車に乗せられるところだった
しかし、助かる見込みがないことは、その無残な姿から誰の目にも明らかだった
「桐生…」
彼はその場に力なくへたり込んだ
雨がたちまち豪雨に変わったが、立ち上がれそうになかった
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