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そうか…この子は本当に俺の事を見ていてくれたんだ…。
「だからっ…!」
「もう良い!」
気づいたら彼女を抱き締めていた。
「ふぇ…っ!?」
「もう良い…」
「…えっ……あ、…その…」
「ごめん…ありがとう。」
「い、いえ…」
切り裂いた静寂の中に二つの影。
「……ごめん、ありがとね。」
「あ…っ……はい。」
その影は、きっと今からお互いを知り合っていく。
「…あの、えっと…良いかな?」
「はい…」
それは、きっと甘酸っぱくて、切なくて。春の季節の様なものだと思う。
「その……まだ君の事全然知らないけど、少しずつ知っていきたいと思う。」
「…はい。」
きっかけは、とても些細なものだったかもしれない。きっと、一輪の花だったり、一瞬の風だったのかもしれない。
「だから…その、」
「…あの!」
それでも、春は二人を引き合わせ
「な、なに?」
「…その、私から言わせて下さい!」
「……うん。」
運命の歯車を回し始めた。
「…好きです……大好きです!私と…付き合って下さい!!!」
春一番が吹き抜けて、春の奇跡が訪れた。
「……こちらこそ、宜しくお願いします…!」
春に吹くから春一番。
夏に吹いても春一番。
それは、人々に"恋"という名の春を運ぶ風だから。
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