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「私の名前」や「何故こんな所にいるのか」だとかは、この話には関係ない。
私は私だ。
その私が慣れない砂場を大きさの合ってないサンダルでぷらぷらと歩いていた。
どれくらい歩いてたんだろうか。
立ち止まり、後ろを振り返る。
サンダルから続く足跡が地平線まで伸びていた。
私の視界に映るものは、大嫌いな青空と太陽と、
海と、
浜辺と、
足跡と、
黒い人。
ほかには何も無い。
左にあるのは砂と地平線。
右にあるのは海と水平線。
何処までも続く海と砂との半分の世界。
麦わら帽子でもう半分の世界。
そこにポッカリと穴を開けたような、黒い人。
その黒い人は、黒い(物凄く高級そうな)スーツに革靴。
つばの小さなハットを被り黒鞄を黒手袋で胸の前に抱えている。
俯いているからか、よく分からないが顔も黒く翳っている
生ぬるい気温がジッとりと、私に汗をかけと命令している。
大嫌いな青空も、何も言わず只々知らん振りをしている。大嫌いだ。
黒い人も何も言わずに只々だんまりこんでいる。
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