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地縛霊ってのを聞いた事がある。死んだ場所とかに縛りつけられた霊。
俺、それになっちゃったのかなーって思ったけど、違ったっぽい。
昔この場所で死んだらしいオッサンがいた。ちょっと話して仲良くなった。
「ボーズ、運悪りぃな。ま、そんなこともあるさ」
まぁな。
「でもよかったな。地縛霊になんなくて。ホント辛いから」
このオッサン地縛霊らしい。ってことは、俺は地縛霊じゃないんだな。
「移動の仕方がよくわかんないんスけど……」
現在の俺は空中にふわふわ浮いてる状態。15年間地に足を着けて生活してきた身としては、違和感バリバリで気持ち悪い。
病院やら葬式やらの時は、霊の俺は生身の体に勝手について回ったからな。
「んなのイメージすりゃ簡単だ。浮きたいと思えば浮けるし、立ちたいと思えば地面に立てる」
四苦八苦。数分の苦闘の末、地面に足を着けることに成功した。なんか便利だな幽霊って。
「おめっとさん。じゃ、移動も成仏もできない俺の代わりに『第二の人生』を楽しんでこい、ボーズ」
「ありがとう。また来るよ」
たぶん。
俺はすたこらとその場を去った。
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