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とりあえず我が家の近くまで来てみた。車のライトで満たされた都会から、暗い住宅街に来てみて気付いたんだが、恐ろしく良く見える。暗さなど関係無しに、昼間のように。
幽霊万歳。この立場を受け入れてる自分が怖い。
まぁ、自分の葬式とかガッツリ見てきた訳だし。
で、どうしようか。たぶん今の俺を見れる奴なんて――
「あ、進也?」
「は?」
後ろから声がした。うん、確かに俺は黒澤進也だけど。
今幽霊だし。人からは見えないと思うんだけど。
「進也だ! 生きてたの?!……あ、霊か。なになに、未練でもあるの? とりあえずウチくる?」
「は? えっと……うん……?」
状況がよく理解できないままその女……お隣りさん……幼なじみ……白石奈美の部屋へ。窓から招き入れてもらった。
「私見える体質なんだよね。進也知らなかったっけ?」
「あー、思い出したかもしれん」
たぶん小五の時だな。二人で墓に肝試しに行ったんだっけ。
奈美は何も無い空間に話し掛けたり、指差したり、一人握手したりしてた。ずばりアレか、霊さんと交流してたのか。
「あんま力ないけど。お母さん譲りなんだ」
「へー」
「てか、進也どうしてこの世にいるの? あと、泣いてもいい?」
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