あなたの全部を…

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ひとしきり寒さが身に染みる12月…昨日なんか、雪がちらついていた。 千秋さんの次の新刊は、2冊同時に、別々の出版社から出すらしい。 その取材旅行のために、速水さんと千秋さん、担当の谷口さんと昴さんが、沖縄に出かけて行った。 そんなこんなで、数日の間、バイトは休みだった。 そして…次のバイトの前日のことだ。 ♪ ♪♪♪ ♪♪♪~ 携帯から、クラシックの着メロが流れた。…これは、速水さんからの着信専用。 「はい、和樹です。」 「…和樹か?俺だ。 X'mas、郁美と過ごすんだろ? 予定は決まったのか? 実はな、仕事の都合で、X'mas予約してたホテルに、行けなくなったんだよ。 それでな、よかったら、お前ら、使えよ。 宿泊費こっち持ちだから、心配しなくていい。 俺と千秋からのX'masプレゼントみたいなもんだ。 どうだ?」 「えっ?!…そんなの…。速水さんにとっても、X'masは、記念日じゃ…。 仕事終わってからでも…。 なんて、言っても、ダメなんでしょうね。 …わかりました。 遠慮なく、使わせてもらいます!」 「了解した。 明日、来る日だろ? じゃあ、その時に、詳しくな。」 電話を切って、僕は、突然決まったことを、頭の中で、反復する。 郁美とホテルに…、一泊すんだよな…。 うわっぁ…ダメだ~ぁ!ドキドキしてきた。 待て?…郁美本人はともかく、おじさん達に、なんて言うんだ? 僕は、また、頭を抱えることになった。
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