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僕の悩みは、あっけなく解決した。
今度のことは、自分達の勝手で、迷惑かけてることだからと、僕の父さんと、郁美のお父さん、両方に、速水さんから、話をきちんとつけてくれた。
郁美は、特別な日を過ごせることになって、めちゃくちゃに、喜んだ。
そして、24日…待ち合わせ場所で、僕は、ドキドキしながら待っていた。
それなりに、おめかしして、手には、ペーパーバックを持って。
中には、郁美へのプレゼントが、入っている。
気に入るかな…?
「和樹…待った?」
うわっ、やばっ!なんなの?!…この可愛さ!
「どうしたの…?」
「…あんまり可愛いからさ…見とれてた。」
「本当に!…嬉しい♪」
抱き着いてきた郁美からは、普段とは違う、匂いがした。
「…お化粧してる?」
「…うん、ちょっとだけだよ。おかしい?変?」
「全然!…いつもより120%増し!…綺麗だよ。」
さあ、特別な夜の始まり。僕は、深呼吸して、きりだした。
「あのさ、これから、イルミネーション見に行こう。
速水さんに、綺麗な所、教えてもらったんだ。」
「うん♪」
僕らは、手を繋いで、夕闇が迫ってきている街を、歩いた。
街全体が、キラキラしてて、いつもと違う…。
「うわっぁ!すごいよっ!見て!見て!和樹!」
目の前に広がる、光の渦に、一瞬、目が眩みそうだった。
「…光の海だね。」
「…あっちは、光の船かなぁ。」
二人で、しばらく見とれていた。
ふっと、周りを見渡してみる…。
僕らみたいな、若い子から、年配の人まで、カップルが、沢山いて、みんな幸せそうな顔をして、光の海を見ていた。
小さい子供が、中にいる。
お父さんとお母さんに、手を繋いでもらって笑ってる。お父さんに、肩車してもらって、嬉しそう…。
微笑ましさに、思わず、笑ってた。
「…和樹?何、笑ってるの?」
「みんな、幸せそうだなって、思ってさ…。
僕も、そんな顔してる?郁美。」
「うん、幸せって、書いてあるよ。体中に!」
郁美の笑顔が、いつも以上に、輝いて見えた。
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