524人が本棚に入れています
本棚に追加
/146ページ
「…お腹すいた?」
「うん、ちょっとだけ。」
「ホテルまで、我慢できる?…速水さん、予約する時に、食事も、予約したんだって。フルコースだよ。」
「フルコース?!」
「僕は、食べたことないなぁ…郁美は?」
「小さなお店で、ランチコースなら、あるけど…本格的なのは、ないよ。」
「…じゃあ、二人して初体験だね!」
「ああ…ホテルの本格的なフルコースかぁ…想像したら、お腹すいてきた。」
「あははは…郁美ったら、食いしん坊だなぁ。」
「もう!意地悪!」
ちょっと、緊張が解れた。
速水さんに、もらった地図を見ながら、ホテルへ向かう。
途中には、郁美が、絶対に好きそうな雑貨屋とか、外から見てるだけでも、ドキドキするくらい高そうでお洒落な店とか、飽きない工夫がされてた。
きっと、これは、千秋さんの仕業だ。
僕は、嬉しくなった。
その勢いで、ホテルに着いた僕達は、…その前で、立ち尽くした。
「…嘘だろ。本当に、ここなの?」
外資系のホテルをよく知らない僕でも、ここは、他と格が違うって、わかる…。
「…い、行くよ!」
郁美の手を握り直して、フロントに向かった…。
「…あの、今日、速水の名前で、予約してると思うんですが。」
「ご予約の速水様ですね。…はい、お聞きしております。
お泊りは、小川様で2名様と、速水様からお伺いしておりますが、よろしかったですか。」
「…あ、はい。」
「恐れ入りますが、ここにご宿泊者のご署名を、お願いしております。」
「…僕が、全部書いても、構いませんか?」
「…どうぞ。」
小川和樹っと…どうしようか…ごくっ…ええい!ままよ!…小川…郁美
「はい!これで、いいですか?」
「…結構でございます。
こちら、ルームキーと、なっております。
ご案内いたしますので、どうぞ。
ありがとうございます。ごゆっくり、おくつろぎくださいませ。」
フロント係が、深く頭を下げる。
最初のコメントを投稿しよう!