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「…美味しかったね。」
「うん。ローストビーフのお肉柔らかくって、口の中で、とろけちゃった♪」
「ローストチキンも、皮がパリッとしててさ、やっぱり、違うね。」
速水さんが、予約してくれていたレストランでの、食事は、思っていた以上で、二人とも、すごく満足だった。
部屋に、戻ってきてから、ソファーに、二人で座って、まずは、落ち着く。
「…あのさ、これ。」
和樹が、自分のペーパーバックの中から、プレゼント用にラッピングされた小さな包みを、取り出して、郁美に手渡した。
「X'masプレゼント。」
「…開けていい?」
和樹が、頷いたので、開けてみる。
「綺麗!…私が、もらっていいんだよね?」
「当たり前だよ。…サイズ合うかな?」
郁美の左の薬指に、指輪をはめてやる。
「よかった!…サイズ、ピッタリだ。
僕のバイト代じゃ、これが限界なんだ。
本物の結婚指輪は、もうちょっと、待ってくれる?
来年の春、郁美が、大学に入学した後…、郁美の20歳の誕生日が来たら、おじさんとおばさんに、僕の気持ち、ちゃんと伝える。
郁美と、結婚したいって。
僕も、まだ学生だし、すぐには、許してもらえないかもしれないけど…一生懸命頑張るよ。」
「…和樹、嬉しい。私の夢は…叶うんだね。」
「千秋さんの結婚式で、今度こそ、千秋さんへの想いを断ち切るつもりだったのに…情けないよね…僕は、あの場にいても、千秋さんの隣にいるのが、僕だったら…なんて、考えていたんだから…。
また、現実から目をそらして、逃避しようとしていた僕を、引き戻したのは、君なんだ…郁美。
目の前にいる君を、見ているようで、見てなかった自分が、許せなかった…。
ブーケもらった後、いろいろ、僕なりに考えたんだ…郁美は、僕にとって、なんなんだろうって…。」
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