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郁美は、和樹が何を言い出すのか不安だった…。
和樹は、私と、結婚してくれるって、今、言ったばかりなのに…まるで、否定するみたいなことを言う…。
今にも、胸が押し潰されそうで、耳をふさぎたいくらいだった…。
「…僕にとって、郁美は、特別なんだ。…どう特別なのかって、聞かれても、たぶん答えられないと思う。
言葉には、出来ないんだ、いろんなことが、一杯、複雑に絡まりあってて…。
ただね、僕の中で、郁美の存在が、どんどん大きくなっていて、もう抑え切れないんだ…。
郁美が、いない生活なんて、僕は、もう、考えられない…。」
「私も、和樹がいない生活かんがえられないよ…。
千秋さんがね、私が、和樹の特別な存在だから、信じてあげなさいって、言ったの…。
信じてよかったって、これからも、ずっと、ずっと、思わせて…お願い。」
「…当たり前のこと、言うなよ。…信じさせてみせるよ、絶対。」
「ありがとう。和樹。…大好き!」
なんか、お互い大袈裟な物言いになってしまったことを、笑ってしまった。
「…私のプレゼント、もらってくれる?」
「何?何?」
和樹がワクワクしながらまっていると、細長い小さい箱を出してきた。
「開けてみて。」
郁美に促されて、開けてみると、中に、腕時計が入っていた。
「エヘッ♪…これとお揃いだよ♪」
確かに、郁美の腕に着けられているのと、同じデザインの男物の時計だ。
和樹は、着けていた自分の腕時計をはずして、代わりに、郁美の選んだ物を、着けた。
「どうかな…似合う?」
ちょっと、袖口をひっぱってポーズを、とってみた。
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