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僕は、郁美をそっと抱きしめた。
「僕らさ、まだいろんなこと、始めたばっかりだし、やることなすこと、初めてばっかりじゃない…。
上手くいかないことの方が、きっと多いよ…多分…。
だけど、僕は、なにがあってもさ、こんな風に、君をずっと、抱きしめていたいんだ…この先、ずっと、ずっと、永遠に…。」
「…ずるいよ。そんな格好いいこと、言わないでよ。
さっきまでの私、駄々こねてるみたいで、格好悪いじゃない…。
好きって気持ちは、絶対、私の方が、和樹よりも、早くからだし、絶対に、大きいんだから…。
ま、負け惜しみじゃないんだから…。」
「クスッ…僕に、抱えきれるかな?…その気持ち。」
「笑わないでよ!もう!
コホン…私の気持ちは、無理してでも、抱えてもらうから。」
「…頑張るよ。」
和樹は、郁美を見つめて、そう答えた。
その後、僕らは、長い長いキスをした…。何度も、何度も…。
気持ちを、上手く言葉に、出来ない僕らは、こんな風にしか、伝えられなくて…
カーテンの隙間から、朝日が漏れてくる。
いつもと同じようで、少し違う朝が、はじまった…。
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