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其のまま頭を抱えて誠の隣に座り込んで仕舞う。
中山がうーんと唸って声を上げる。
「そうだ。
パーティーをするんだ。
安い食材と酒を工夫して豪華に見せて。
パチンコ屋が月の締め日前に祭りとか云って客から金を回収する、あれと同じだ」
詩織の顔が上がる。
「中山さん、良いね。
其れ」
笑顔が浮かぶ。
誠も釣られて顔を上げる。
が、詩織の顔を不安げに見る。
「どう云う事」
「マスターは余り考え無いで。
お客とパーティーするって事だけ考えて下さい。
良い料理、期待してますよ」
誠の顔にも笑顔が浮かぶ。
2人の笑顔を見て、中山が立ち上がる。
「さあ、そろそろ始発も来る頃だし、帰るかな」
「ありがとうございました」
誠は中山を笑顔で見送る。
ドアの側まで見送りに来た、詩織が尋ねる。
「毎日こんな遅く迄飲んで、奥さんやお子さんに怒られたりしないんですか」
「ああ、まあな」
適当に相槌を打って、中山は店を出る。
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