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翌日、買い出しを済ました詩織が、店先にパーティーの詳細の書いたポスターを貼っていると、ポケットに仕舞って居た携帯電話が鳴った。
「はい、分かりました。
すぐ行きます」
詩織は震える声で、答える。
近藤詩織は、19の時、地元の山形から、逃げ出す様に東京へやって来た。
何故山形から出て来たのか。
彼女は地元で、虐めにあって居た。
毎日毎日足元を見て登校する彼女は、何時も決まった場所にある拳程の石を見て居た。
彼女は、学校で、蛆虫と呼ばれて居た。
虐めから、逃れ様とする彼女の、蠢く様と、其の白い肌から連想されたあだ名だった。
彼女は、其れが分からず、どんな理由から自分が蛆虫と呼ばれて居るか、知りたかったが、聞け無かった。
自らの存在を指して蛆虫と云われる事に恐怖した。
卒業式を終えた帰り、何時もの様に地面を見て居た彼女は、あの、拳程の石が無くなっている事に気付いた。
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