ゆるやかな回転

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もう、此処に来なくていいんだ。 そう思うと、涙が溢れた。 彼女は何時しか、学校へは、登校途中の石を見る為だけに通う様になって居たのだ。 飛び出す様に地元を出て、1人暮らしを始めた。 彼女は、幾週間を、快適に過ごした。 ただ、其れは、ある事実に気付く迄だった。 地元の同級生、助けてくれ無かった親元を離れ、自由を手にした彼女が、其の事実に気付く迄に数週間と時はかから無かった。 彼女は、今も、昔も、ずっと1人だったのだ。 あの苦しい日々から、抜け出せた筈だったのに、根本的な問題は、何一つ変わって居なかったのだ。 自分が、恐ろしく、滑稽に思えた。 鏡を見ては、笑みが浮かんだ。 目は、泣いて居たのに。 彼女はフラフラと、町に出た。 其処で、仲間を求めた。 退屈して居た町の連中は、喜んで彼女を迎え入れた。 彼らは、常に愉快そうに、彼女に接した。 彼女も、其れに答えた。
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