ゆるやかな回転

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バー「ジェイジェイナム」は今夜も大盛況だった。 実際には、常連で毎日来る中山を含めて客は八人しかいない。 それでも店内は狭い為、活気が溢れて居る様に見えて居た。 カウンターの向こうでは、注文された酒を、誠が手際良くグラスに注いで居た。 奥で洗い物をしている詩織は、何時客に呼ばれても良い様に、耳を澄まして居た。 カウンター席でご満悦の、2人組みで店に来たサラリーマン風の男が、誠に言った。 「お兄ちゃん偉いねえ。 其の歳でマスターだなんて」 誠は恥ずかし気に笑顔を向ける。 男は続ける。 「こう云う店は高い酒しか置いて無いと思っていたのに、ちゃんとおっさん好みの焼酎も置いてくれてるしさ、お兄ちゃん幾つだっけ」 「23になります」 「偉いねえ、コイツなんて26なのにまだ1人前に仕事も出来ないのに」 そう言って男は同伴した仲間を指差す。 誠は、顔を真っ赤にして嬉しそうに、棚からバーボンのボトルを取り出す。
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