6人が本棚に入れています
本棚に追加
バー「ジェイジェイナム」は今夜も大盛況だった。
実際には、常連で毎日来る中山を含めて客は八人しかいない。
それでも店内は狭い為、活気が溢れて居る様に見えて居た。
カウンターの向こうでは、注文された酒を、誠が手際良くグラスに注いで居た。
奥で洗い物をしている詩織は、何時客に呼ばれても良い様に、耳を澄まして居た。
カウンター席でご満悦の、2人組みで店に来たサラリーマン風の男が、誠に言った。
「お兄ちゃん偉いねえ。
其の歳でマスターだなんて」
誠は恥ずかし気に笑顔を向ける。
男は続ける。
「こう云う店は高い酒しか置いて無いと思っていたのに、ちゃんとおっさん好みの焼酎も置いてくれてるしさ、お兄ちゃん幾つだっけ」
「23になります」
「偉いねえ、コイツなんて26なのにまだ1人前に仕事も出来ないのに」
そう言って男は同伴した仲間を指差す。
誠は、顔を真っ赤にして嬉しそうに、棚からバーボンのボトルを取り出す。
最初のコメントを投稿しよう!