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誠は頭を揺らしながら、指を顔の前に8本立てて見つめる。
そして又うなだれる。
「分からない」
「266杯売ってまだ赤字」
詩織が叫ぶ様に怒鳴る。
「どうするんですか。
此の赤字。
せっかくそこそこ人気のある店なのに、毎週こうやって赤字出してたら、全然頑張ってる意味無いじゃないですか」
「詩織さん、ごめんよ。
俺、どうしても駄目なんだ、褒められると」
「喜ぶなとは言ってません。
せめてもう少し頭で計算してみて下さい」
中山がグラスを置いて詩織をなだめる。
「まあまあ、其処が此処の人気のある理由なんだし」
「そんな人気の取り方してたらお店潰れます」
「じゃあ詩織ちゃんがもうちょっと肌露出したら客も増えるよ」
「そう云う冗談嫌いです。
私の体は見せ物じゃありません」
子供に言う様に中山を叱りつけた詩織の顔に、不安が浮かぶ。
「今月もう一週間しか無いんですよ。
どうするんですか、此の赤字」
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