黒き病室

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「いてて、まだ全然、頭痛いんだわ。本当にわりぃんだけど……。」 斉藤じゃない方の男が、少し作ったような笑顔で、 「あっ、気遣わなくていいよ。」 気を遣う? 頭が痛いから帰ってって、言ったんだけど……………………。 あァァァァァー、お母さんとすれ違ったのかァァァァァ~。 なかなか、余計なことしてくれたなァァァァ~。 「気を遣う?な、なんのこと?」 声が震えてる。 耐えられなくなったのか、斉藤が、 「やめてっ!!なんかもういいから。」 逆に気を遣わせてしまった。じゃあ、もう記憶喪失のことも知ってるのか。 「…………。知ってる?」 そこにいた全員が頷く。 しばらく、部屋を沈黙が包んだ。 最初に、口を開いたのが、斉藤じゃない方の男だった。 「俺は、金澤 佑祐(かなざわ ゆうすけ)。お前は、ユウって呼んでたぜ。」
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