黒き病室

11/15
前へ
/30ページ
次へ
切り出してくれたおかげからか、斉藤の顔がパッ!と明るくなる。そして隣にいた女を指差しながら、 「さっき、こいつが言ってたけど、俺の名前は斉藤勇輝(さいとう ゆうき)。まぁ、お前は俺のこと勇輝って呼んでたよ。」 続けて、斉藤に指された女が、 「私は、姪夜夏夢(めいよ なつむ)だよ。夏夢って呼んでた。」 姪夜夏夢、斉藤勇輝、金澤佑祐…………。 あれ………? まだ、もう一人の女が名乗っていない。 というか、口を開く気配さえない。 この部屋に入って挨拶をしなかったところを見ると、無口な人なのかな。 しかし、周りの3人が、おいっどうしたという風にチラッと見ている様子からすると、そうでも無いのかもしれない? やがて、まだ名乗っていない女はキッと俺を睨み、 「霧羅咲千波(むらさき ちなみ)。」 ボソッと、というよりは吐き捨てるようなかんじだった。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加