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一気に、全身から力が抜ける。
それと同時に、こんなくだらない理由で怒鳴られ、それにビビらされたことに若干怒りがわく。
「じゃあ、なにか?飛び降りた希咲って奴には非がないってのか。」
霧羅咲千波は顔を紅潮させ、
「よくもっ!!そんなことが言えるわねぇっ!!」
鬼神でも乗り移ったかのように怒りを剥き出しにしている。
髪でも、逆立つのではないだろうか。
そのまま、俺の方へポケットをまさぐりながら、近づいてくる。
ポケットから手を出し、なにかを握っている。武器であることは間違いないだろう。
突然、危機的状況に陥った時って動きがとれないものなんだな……。
しかし、恐れや驚きに侵されているからではない。
それはたぶん俺の場合、自分の命を人に預ける覚悟ができたからだと思う。
ズンズンと近づいてくるにつれ、何故こいつはこんなに怒っているのだろうという疑問だけが俺の中に生まれた。
普通、他人のことじゃこんなに怒れないよな。
大親友だったのかな?
霧羅咲千波は俺の真横に到達し、俺の頭を焦点にあわせ、腕を振り上げる。
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