2章

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もう、何もしない。 退院日が、来るまでずっと寝ていよう。 眠れなくても、目蓋の裏を見ていよう。 そうして、さっきの位置に戻り、目をつぶる。 コンコン ガラガラ 「夕食の時間ですよぉー。」 3日後、退院するときがやってきた。 毎日寝ることしかしていなかったから、朝早く起きてしまった。 今何時だろ。 あくびをしながら、時計を見ようと首を回した。 「あら、おはよー。早いわね。」 !? 1人の女性がベッド脇の椅子に座っていた。 寝ぼけてんのかな。 いや、寝ぼけるってこんな意識あるもんなの? 「そんなに驚いちゃって、退院日になったら来るって言ったでしょ。」 こういうのを、親バカと言うのだろうか。 「今何時だと思ってんだよっ!」 時計を見ようとするが、ぼやけて見えない。 「今、4:34よ。そんなに大きな声だして、周りの人のことも考えなさい。」 と、口の前に人差し指をたてる。 かわいくねーんだよ。 そして、俺のことを考えてくれ。
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