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「で、お母さん。なんでこんな早く来たの?」
他にも聞きたいことはあるが、まずこれを聞きたかった。
お母さんは、目をこすりながら、
「今日わねぇー、朝早くから仕事があるのよ。でも、退院日に来るって約束したじゃない。それに、渡したいものもあるし。」
と、バックの中から辞書のような厚さの手帳を取り出す。
「はいっ、これ。」
ベッドの上に、ドスンと置いてくる。
それを、手にとってペラペラめくってみるが、暗くて見えない。
それを察し、
「あっ、見えないわよね。電気つけるわ。」
パチッ
明るくなる。
再びめくってみると、
そこには、友達の名前とその友達の特徴、それだけでなく俺のあらゆる情報、まだまだ他にも書いてある。
おそらく、俺に関することを、お母さんの知りうるかぎり書き尽くしたのだろう。
また、バックからなにかを取り出す。
そしてそれを、俺の顔に掛ける。
「今まで、何も見えなかったでしょう。五口はコンタクトだったけど、メガネのほうが楽かなと思って。」
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