2章

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「で、お母さん。なんでこんな早く来たの?」 他にも聞きたいことはあるが、まずこれを聞きたかった。 お母さんは、目をこすりながら、 「今日わねぇー、朝早くから仕事があるのよ。でも、退院日に来るって約束したじゃない。それに、渡したいものもあるし。」 と、バックの中から辞書のような厚さの手帳を取り出す。 「はいっ、これ。」 ベッドの上に、ドスンと置いてくる。 それを、手にとってペラペラめくってみるが、暗くて見えない。 それを察し、 「あっ、見えないわよね。電気つけるわ。」 パチッ 明るくなる。 再びめくってみると、 そこには、友達の名前とその友達の特徴、それだけでなく俺のあらゆる情報、まだまだ他にも書いてある。 おそらく、俺に関することを、お母さんの知りうるかぎり書き尽くしたのだろう。 また、バックからなにかを取り出す。 そしてそれを、俺の顔に掛ける。 「今まで、何も見えなかったでしょう。五口はコンタクトだったけど、メガネのほうが楽かなと思って。」
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