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あぁ、メガネを掛けないで欲しかった。
なんで、くまが悪化してんだよ。
こんだけの量を書くには、1日、2日じゃ終わらねぇよな。
それに仕事もあるから、寝る間も惜しんで。
あん時、早く帰ったのもこれを書くため?
やべぇ、泣けてきた。
「五口、喜んでくれたみたいね。本当によかったわ。」
口に手をあて、鼻をすすっている。
目も真っ赤だ。
「お母さん、ありがとう。」
言葉を重ねると、かえって軽くなってしまいそうだったので、一言にしておいた。
「その言葉が聞けて嬉しいわ。」
立ち上がり、仕事があるから行くねと言って、ドアの方へ向かう。
突然、歩を止め、振り返る。
「退院おめでとう。そして、ハッピーバースデー。おめでとう。」
お母さんは、部屋を出て行った。
開いていたページには、俺のことが書いてあった。
布津 五口
15才
19××年8月3日生まれ
……………………
今日は8月3日、夏休みの真っ只中。
カーテンを開ける。
太陽の光が、部屋を満たした。
目をギュッとつぶって、両腕を上に伸ばす。
そして、大きくあくびをして、目をこする。
「やっと、太陽の下を歩ける。」
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