2章

10/12
前へ
/30ページ
次へ
少し歩く。そして振り返り、看護婦たちがいないのを確認してまた病院の入口のところへ戻る。 とりあえず、しゃがみこんだ。 そうしたら自然に、頭を膝が挟む状態になった。 さっきより、全然楽になった。広い世界を見るより、こうして、自分の殻に閉じこもってしまった方が落ち着く。 ずっとこのままでいたい。 誰も話しかけないでくれ。 「ねぇー、なんでUターンすんのよぉー。そんなに私が嫌いぃー?」 顔をあげる。 声のする、さっき俺が向かうはずだった 病院の門のところには、ふわふわと長い髪の揺れる女の子が立っていた。 その子は、眩しそうに手をおでこのところにかざして、もう片方の手は、山に向かってヤッホーとやる時と同じように横にある。 周りには誰もおらず、当然、Uターンしたのは自分しかいない。 あぁ、自分でフラグたてていたことに今し方、気づきました。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加