2章

11/12
前へ
/30ページ
次へ
呼ばれたのは、自分だと分かっているけど動けない。 それを見て、その女はズンズンとこっちに来た。最初は歩いていたが、徐々に走りだし、あっというまに俺の前に着いた。 「なんで、私を見て戻るのよ。」 どうやら、いや、完全に勘違いをしている。 お前なんて目に入ってねーし、入れたくもない。なんて、強がりを言いたいところだが、ヤバいかわいい。 ずっと、目に入れておきたい。 小顔のわりには、わりと大きな瞳。気の強さを感じさせるキリッとした眉毛。風が吹くたびに、靡く髪により、香り立つふわふわとした優しい匂い。 「えーと、すいません。どなたですか?俺、記憶喪失でなにも覚えていないんですよ。名前教えて下さい。」 おそらく、俺の友達だろうと思い、手帳を使ってこの女の子のことを調べようと思ったのだ。 「えっ!!記憶喪失なのっ!!いや、ゴホン。知ってるわ」
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加