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呼ばれたのは、自分だと分かっているけど動けない。
それを見て、その女はズンズンとこっちに来た。最初は歩いていたが、徐々に走りだし、あっというまに俺の前に着いた。
「なんで、私を見て戻るのよ。」
どうやら、いや、完全に勘違いをしている。
お前なんて目に入ってねーし、入れたくもない。なんて、強がりを言いたいところだが、ヤバいかわいい。
ずっと、目に入れておきたい。
小顔のわりには、わりと大きな瞳。気の強さを感じさせるキリッとした眉毛。風が吹くたびに、靡く髪により、香り立つふわふわとした優しい匂い。
「えーと、すいません。どなたですか?俺、記憶喪失でなにも覚えていないんですよ。名前教えて下さい。」
おそらく、俺の友達だろうと思い、手帳を使ってこの女の子のことを調べようと思ったのだ。
「えっ!!記憶喪失なのっ!!いや、ゴホン。知ってるわ」
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