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「櫻木さん…?」 返事を求めて、教室を見渡す紗英。 ふと、窓際の一番後ろが空席になっている事に気付く。 「先生、櫻木は大体いつも遅刻だよ。」 「そうそう…時間通りに登校するなんて、めったにないよな!?」 うんうんと頷く数人の生徒たち。 「でも、アイツの父親、この学園の理事長と知り合いで、遅刻しても許されてんだよ。」 「特別扱い…ってやつ?ズルいよなー!」 ざわざわと騒ぎ出す教室。皆、少なからずともよく思ってない様子が伝わってきた。 「…まあまあ…櫻木さんは遅刻ね。…どんな女の子なのかな…?」 紗英の言葉に、クラス中が吹き出す。 「先生、櫻木は男だよ!女みたいな名前だけど。」 「実際、女みたいな奴だけどね…」 「言えてるー!」 またクラスのテンションが上がり始める。 苦笑いをしながら、紗英はまた出欠とりを再開させた。 .
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