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小田はもともと、由宇の父親の会社の者だったが、亜義の作品に引かれ、身内が画廊を営んでいることもあり、進んで亜義の絵画の売り付けなどをしてくれていた。
個展は小田の希望で進めてきた事だった。
亜義は商売には全く興味がなく、個展もあまり意欲的ではなかった。
亜義の作品が沢山の人に見てもらえることは、由宇の願いだった。
「ありがとうございます…小田さん。小田さんのお蔭です。亜義にも早く知らせたい…!」
「そうだよね!……ちょっとだけ、成瀬くんと話せないかな?」
少し考えて、由宇が首を振った。
「いや…、亜義が自分から絵筆を降ろすまでは、話しかけないほうがいいでしょう。…早く知らせたいけど…我慢しましょう。
そうだ!小田さん、良かったら、夕飯食べて行きませんか?俺、腕振るいますよ!」
「…え!いいの?…嬉しいなー!じゃ、遠慮なく、ごちそうになっちゃおうかな…!」
小田が嬉しそうに笑って言った。
由宇も弾む気持ちを抑えられなかった。
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