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紗英は思わず笑顔になり、車に走りよった。 「送ってやるよ。乗って。」 中から男が顔を出すと、紗英は車のドアを開けて中に乗り込んだ。 走り出す車。 「助かった!大樹ありがとう!」 「今日だけ、特別だぞ?明日からはちゃんと自分で行けよ?」 「わかってるって!…もー夕べはなかなか寝付けなくてさ、ついつい寝坊しちゃったよ。」 「念願の初担任だもんな。」 「代理の先生だけどね。…でも、クラスが持てるなんで、嬉しい!今までは教科の担当しかなかったし。」 「西華学園なら問題児もいないだろうしな。…俺の塾にも何人か西華学園の子がいるけど、みんないいとこのお嬢様お坊っちゃまで、扱いやすいよ。」 「物じゃないんだから、扱いやすいなんて言わないで…!」 「ハハ…ごめん、ごめん。紗英は真面目だからなー。あんまり力入れすぎんなよ?どうせ一年間だけの代講なんだから。」 「ご心配なく!…代講が終わったら、ちゃんと大樹のお嫁さんになるから…!」 ニッコリ笑う、紗英を見て、大樹も嬉しそうに目を細めた。
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