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「三室紗英です!産休に入られた田口先生に代わって、今日からこのクラスの担任をすることになりました。教科は田口先生と同じ国語です。よろしくお願いいたします!」 昨日から何度も練習していた台詞を、とにかく元気一杯に口にする紗英。ペコリと下げた頭をゆっくり上げると、そこには笑顔で迎えてくれる、生徒たちの顔が並んでいた。 「先生!何歳ですか!?」 若々しい紗英に、女子生徒たちは親近感を覚え、男子生徒たちは鼻の下を伸ばす。 「24歳です。大学出てから非常勤講師として教科の担当だけしてたんだけど、今年から念願の教師になりました。…だから、このクラスが初担任です。…………頼りないかもしれないけど、私なりに皆と成長していけるよう、精一杯頑張ります!」 素直な紗英の言葉に、嫌な印象を持つ生徒は1人もいなかった。新鮮な、明るい風に、生徒たちは皆、目を輝かせていた。 「じゃ、出欠の確認をしますね。名前を 早く覚えたいので、立って簡単に自己紹介してもらえるかな…?」 ざわざわと楽しげに沸く教室。 「じゃ、…相川歩美さん…?」 「はい!」 1人1人、顔をしっかり見ながら、名前を呼ぶ紗英。髪型や特徴などを、手元のノートにメモしていく。 「櫻木 由宇…さん?」 何人目かのその名前。 彼女にとって、これからそれは、大きく自分の人生を変えてしまう人の名前だった。 .
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