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街中は住宅街と比べると幾分か暑さを感じる。
車の排気ガスのムワッとした空気、人が排出する二酸化炭素、密集した高層ビル……。
世間では地球温暖化だと言われているが、こんなのじゃ、暑いのも当たり前だ……。
すれ違う人々の距離はいつだって近い。なのに、温もりなんてものは全く感じない。
みんなよそよそしくて、あくまで他人、と一線を引いている。
都会は人が冷たいとか、コンクリートジャングルなんて言われて嫌われがちだが、私はこの冷たさが逆に心地好い。
他人に気を遣われるより、最初から気にしないで"放っておかれる"方が、ずっと楽だ。
放っておかれれば、私が気を遣う必要なんて無い。
学生時代だって、私は一人だった。話しかけられるのが、逆に私には重荷だった。
寂しいなんて思ったことも無かった。
どうせ人間なんて最期は一人だ。
それに……
こうすれば他人も自分も、傷つくことなんて無い。
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