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目の前の大きなビルの前で、腕時計を見た。
ここが、今から私が面接を受ける会社だ。
時刻は9時45分。
丁度良い時間だ。
私は、深く深呼吸した。
そして、さっきまでの体の不快感がすっかり収まっていることに気がついた。
さっきはどうにかなってしまいそうなほど気分が悪かったのに、今はまるで嘘のように体が軽い。
よかった。これで安心して面接が受けられる。
ガラス張りの自動ドアが静かに開くと、正面にエントランスが見えた。
清潔感溢れる白の壁が、会社のブランドを示しているようにも思える。
床はピカピカで、パンプスの音が綺麗に響く。
私が働いていた会社とは、比べものにならないくらい綺麗で、ドラマで見るような憧れの会社そのものだ。
……けれど、何かが足りない感じがするのは、何故なのだろう?
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