第一章

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  「……ん??私の顔に何かついているかぃ??」  その人の顔に穴でも開いてしまいそうなほど見つめていた俺に、その人は優しい微笑みを向けてくれた。焦った俺は否定をしようと首を横に振る。 「いえっ!!なんでもな…… “ぐぅーっ” ……い??」  究極に空かしていた俺の腹が素直な音をたてた。それから数秒沈黙が続き、俺は恥ずかしくてその人の顔もまともに見れず俯いた。すると―― 「………っははははははっ!!なんだ、腹が減っていたのか??」  そう言うと、その人は俺に手を差し延べてきた。そして、俺は戸惑いながらもその手を取った。  初めて逢ったその人の手を、戸惑いもなく掴んだのは、その人の笑顔がとても優しかったから。両親以外から初めて向けられた笑顔がとても嬉しかったから。 「君、名前は??」  その人は、優しく俺に名を聞いた。その優しさに俺は、素直に名前を答える。 「……俺の名前は……昴流」 『こんなに優しい笑顔の人は、いい人に違いない』子供ながらにそう思った。
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