パシリ、ダメ。絶対。

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武琉は、たまにしか参加しない。 しかし、参加したときには必ず勝つ。 負けたの見たことない。 「雪奈、俺は苺ホイップクリームパンな」 「まだ、じゃんけんしてないのに!」 3分後――……。 はい、負けました。 連敗ですよ、雪奈さん。 あはは……。心のなかで乾いた笑い声をあげた。 「じゃあ、苺ホイップクリームパン頼むなー」 「はぁい……。武琉は?」 「僕は、今日弁当だよ」 「全速力な、全速力」 「黙らっしゃい。優太。苺パンだよね?」 「バカ、苺ホイップクリームパンだ」 「長いから、略したんだよ!」 「バカ、ホイップクリームを略すとは何事だ!ホイップクリームに謝れ」 そうだった。 優太は、とてつもない甘党だ。 甘党の甘いものに対する愛情は、海より深い。 海より深いって、大袈裟な表現じゃないと、優太と過ごして分かった。 ……身に染みて。
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