12人が本棚に入れています
本棚に追加
「ならば、作戦を開始する。
これ、壁に掛けてくれたまえ」
身長より大きい鏡とアリスンが格闘している脇で、ブラッグは、内職中のマリアのスケッチブックを取り上げ、ブックの背で彼女の脳天をチョップした。
慌てて、バートランドとロスが、鏡の設置を手伝い始めた。
ノーベルは、腕組みして大鏡を眺めた。
「ガラスの鏡で、遠視できるのか」
「モンテーギュから借りて来た。最新の研究成果だそうだ」
鏡の設置はすぐ終わった。
涙目で脳天を擦りながら、マリアが千里眼を開始した。
鏡を指して念じると、市場の戦いの様子が映し出された。
「こりゃ便利だ」
声に出したはノーベルだけだが、他の若者たちも、少なからず感嘆していた。
「占い師が千里眼した視界を、他の者も直接見ることができる。
戦いは間もなく決着する。
バートランドは屋上で待機しろ」
ブラッグは、まだ膠着状態に見える、魔族との戦いの決着を断言し、次の作戦進行を宣言した。
「言うこと聞かねえヤンチャ坊主は、俺の魔法銃の餌食だ。気兼ねなくやんな、バート」
「フッ…」
前髪を指で払い、流し目エルフは、バイオリンを抱えて部屋を出た。
最初のコメントを投稿しよう!