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「護衛してくれると聞いて、キザをやるのは彼ぐらいですね」
魔鏡の設置が終わったところで、アリスンの仕事は小休止だ。
大人しく隊長室の隅に片付けられたソファーに座る。
ブラッグは、先に黒炭を付けた指示棒で、床に直接、魔方陣を描き始めた。
薄緑のダブルの白衣を着た気の弱そうなロスは、持って来た薬カバンから、治療薬と強壮剤の準備をしている。
「アリスン!」
階下から、勢い良く廊下を走って、見習い騎士マーズ少年が現れた。
背に鉄製の大剣を背負っている。
マーズは、警備士たちの作業を邪魔しないよう、いろいろ避けながら、部屋の奥の師匠で主人に寄った。
「よく、わかったな」
「置いていくなんて、ヒドイよ。フィリス助けなきゃいけないのに」
師弟は、ソファーに並んで時を待った。
ブラッグはしばしば鏡で戦局を確認しながら、魔方陣を仕上げていく。
鏡の中のイリヤが、魔族の球体障壁を十何度目か、破った。
魔術師は、火炎弾を準備していて、イリヤに火炎が直撃した。
イリヤの服に炎が移っている。
今回は、モリガンが時間差で敵に肉薄していて、面、胴、小手、と型に剣を奮っている。
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