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「着きましたよ」
アリスンは先輩に伝えた。
火傷の治療中だが、イリヤは上半身を起こした。
「モンテーギュの発明ですか」
「古い文献のスケッチらしい」
ロスに湿布や軟膏を貼ったり塗ったりされながら、イリヤはじっと山城の映像を見ている。
放心状態で、ぶつぶつ言うバートランドの背を押しながら、ノーベルも隊長室に戻って来た。
「お前も、一向に慣れんな」
天才的才能に精神が耐えられない降霊師をソファーの隅に座らせ、ガンマンも魔鏡に注目した。
「アリスン、通信札」
「ん、ああ。もらっておけ」
マーズ少年は警備士長席に寄り、自分でも使える魔法札を選び、ポーチに入れた。
「…? 市場からマックスウェル様が…」
マリアが言い終わる前に、大鏡の映像が、フルアーマーの黒と白の騎士2人のアップになった。
「…防火水槽か?」
おそらくそうだろう。
《ブラッグ!! 私もそちらに呼び寄せろ!!!》
水槽を見下ろしているらしい白銀の聖騎士モリガンは、中指を立ててキレていた。
「マックスウェル…」
《いや、まあ、その、》
念話を警備士の皆に中継しているのは、幽霊騎士のマックスウェルだろう。
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