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緑色気味の雨水が溜まった裏路地の水槽に向かって叫ぶ不惑のヴァルキリヤと、その背後でオロオロする巨漢の黒いフルアーマーに近づく傭兵はいない。
現場の復旧がユルユル始まる中、防火水槽に向かって、モリガンは叫んだ。
「舐めてるのか!!
私も奴のところに連れていけ!!」
警備隊長室で、直接耳に聞こえているわけではないが、ブラッグは右耳だけ人差し指を突っ込んだ。
「…奴の制圧と被害者の救出は、イリヤとファングが行う。
敵の支援者に女神の末裔直系がいる。指名手配中の君が表に出ると、政治的リスクが大きい」
《寝言は寝て…》
封印の札がブラッグにより貼られ、鏡は普通の鏡に戻った。
「マリア、シェーラがいいか。竜族がいいか」
マリアは再び、王の眼と呼ばれるペンダントを左手で握り、念じた。
「先生、竜騎士の遺体が、丁度良い位置にありますわ。
竜族の娘が祭壇に寝かされてまして…儀式の準備をする魔族の背後ですの」
ブラッグは、すぐに魔方陣を仕上げた。
アリスンも、遅れてマーズもソファーから立ち上がり、魔方陣の中央に進んだ。
「よし、行け」
ブラッグは、魔方陣を発動した。
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