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敵地に出現してすぐ。
「血生臭い…?」
アリスンは正面、目の前に、儀式剣が胸に突き立てられて流血しているフィリアを発見した。
「イッ、イリヤ!!
いや、マリア!! いや、イリヤだ!!!」
慌てたアリスンが叫ぶと、声を聞き付けた魔術師が、別室から祭壇のある部屋に戻って来た。
「ああああ…
おまえ、は……!!」
「しーっ! しーっ!」
魔術師もライバルの顔を覚えていた。
指を差して大声で叫ぶ魔族に、女神の末裔傍系は、人差し指を口に当て、決して小さいとは言えない音量で合図した。
魔術師は、女神の末裔のサインを無視し、儀式剣を生け贄から無造作に抜き、
「うっ、ぐふっ」
「まだ生きてるよ!!!」
剣を構えて向かって来る。
生け贄の胸から血がさらに流れている。
「剣を抜いたら余計死ぬ!」
「アリスン、敵、敵!」
動揺している師匠の背中をマーズ少年は押し出した。
魔術師と魔法騎士のチャンバラが、広間で始まった。
「フィリア、しっかりして!!」
マーズ少年が祭壇に駆け寄る。
背後、光が残っていた魔方陣が再び輝く。
2人の錬金術士が現れた。
「地獄に堕ちな!!!」
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