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自由落下したアリスンは、魔術師を下に床に激突した。
「運が良いんだか…悪いんだか…」
魔術師は、気絶している。
剣を鞘に収め、打ち身の衝撃で痺れる身体をゆっくり起こし、周囲を伺ううち、イリヤが降りて来た。
「竜族の娘はもう大丈夫だ」
安堵して頷くアリスンに、イリヤはさらに告げた。
「エルフとは、私1人で戦う。
予定どおり、シェーラやタキトゥスを探し、すぐ脱出してくれ」
止める間もなく、ベテランの戦士は走って部屋から消えた。
残されたアリスンは、頭を掻きながら、床に伸びている魔族の傍らに座った。
「おい、起きてくれ」
揺するうち、やっと魔族は意識を取り戻した。
「貴様…!」
「まあ、落ち着いてくれ。私は話し合いがしたい」
アリスンは、儀式剣を拾って、柄を魔術師側に向けて差出した。
「竜騎士の方が、姫への狂信的でないというか…世界の真ん中に女王を置いてないし、自己中心的でない気がしたが、この際貴公でも仕方ない」
「…お前、失礼だな」
「女王から王位を継承せんか?」
魔術師の目が点になった。
「だから、女王から王位継承してあんたが魔王になればどうだ?」
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