<4>リベンジ

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「魔王って、私が?」 「ああ、あんたも既に千年単位で生きているだろ?」 魔術師は、笑った。 「私は…身分が低すぎ…」 「千年生きて来て、身分なんかもうどうでもいいだろ」 魔術師は、沈黙した。 「だったら、ディムナの方が」 「それ、竜騎士の名前か」 「奴なら、あの方の娘と…」 「でも、今は死んでるし」 また、魔術師は沈黙した。 「あんたの方がしぶといし、人間味がある。 それに、女王を姫に戻し、かつ、魔族の罪無き人々に新しい肉体を与えるには、譲位は必須だろ? だから、竜騎士にこだわったんじゃないか?」 「…私が王か…」 魔術師は、胡坐をかいたまま自分の手を見ている。 「私は、この世界の人々を多数殺したぞ」 「あんたがたの世界に引っ込んでくれれば」 魔術師は、その場に立ち、儀式剣の刃に残る竜族の娘の血を、丁寧に自分の服で拭った。 「女神の末裔。呪われた種族を祝福する気があるなら、儀式の証人になれ」 床に剣を突き立て、魔術師は詠唱を始めた。 アリスンは、やっと対話が実った感慨と共に、儀式を見守った。 儀式が終わると、魔術師は、この世界から消えた。
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