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イリヤの脳裏に、既に探したこの階の部屋の風景が浮かんだ。
イメージはライオンのレリーフの暖炉をすり抜け、その背後の隠し部屋、固定された魔方陣が床や壁に描かれたアトリエに…
ブラッグは、愛弟子の首からペンダントを引きちぎり、床に投げるや否や踏みつけた。
ジリジリと爪先でにじり潰し、ひしゃげた台座と、割れて潰れた目玉を放って、弟子に寄った。
マリアは、義眼の左目ではなく、生きている右目を抑えて痛がっている。
「索敵はもう良い。救護室で手当てを受けろ」
マリアは暗闇の中で、背中と肩に冷たい手の感触に気付いた。
そっと押される感触に誘導されて、警備隊長室から廊下に出た。
「アリスン、無事だね!」
明るく言う弟子マーズは、師匠は頑丈が取り柄と思っている。
「フィリア、歩けるか?
フィリスを急いで探そう」
アリスンは、マリアが遠視する気配が消えたを察していた。
《ご心配おかけしました…》
マーズが得意気に突き出したランプは、念話で謝った。
「アリスン様…後で、詳しく説明して、いただけますか…」
まだ生きている、人魂の姉、フィリア女史は、迫力で王太子妃を圧している。
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