<4>復活

2/9
前へ
/257ページ
次へ
「マーズさん、警備隊長室にある、私のスケッチブックを持って来て下さいますか」 ロスに右眼に包帯を巻かれたマリアは、小さい声で言った。 マーズは、ランプに入った人魂と、熱心に会話しているフィリアの様子を見た。 毒師で薬師、というか、看護師のロスは、手術して取り出したマリアの右眼を、聖水で呪術的に処置している。 王の眼はブラッグが踏み潰したそうだから、あちらから呪われても被るのはブラッグだ。 天才ブラッグなら、呪われてもびくともしないだろう。 「お願いですわ」 再度頼まれ、マーズ少年は了解した。 隊長室を覗くと、ブラッグは新たに魔方陣を調整していた。 「どうした」 「スケッチブックを…」 「あそこだ」 視線で示された先、隊長席の机上にあった。 「どうも…」 マーズは、はしっこくスケッチブックを取って部屋から出た。 マリアに渡すと、最後に描かれたページを開くよう言われた。 「……コレ…」 スケッチブックに描かれた魔方陣の習作。 全体は読めないが、所々は読める。 「手紙を書いてくださいまし」 マーズはマリアの口元に耳を寄せ、内職話で伝言を聞き取った。
/257ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加