序章

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ザーザーザー 雨はひどくなる一方で、 手を洗い終えた私はため息をついた。 …大丈夫、まだ、大丈夫。 あと少しくらいなら、 あの空間にいても、平気。 トイレから帰ると、新たな王様ゲームが始まっており、残った棒が私に投げてよこされた。 あ、また4番。 「…で、王様だーれ?」 「私よ。」 手をあげたのは恵津子ちゃんで、恵津子ちゃんはにんまりと笑った。 あ、なんかいやな予感。 「7番と4番が男女なら1ヶ月以上付き合うこと。同性ならほっぺにちゅー」 …いやな予感的中。 4番て、私じゃないか。 お相手は、 「7番、俺だけど。4番誰?」 「柏村…?」 柏村。 …現実逃避したい。 同性ならほっぺにちゅーという、一瞬の罰ゲームですんだのに、何これいじめ? 誰かとくじを変えてもらおうかと視線を巡らしたが、恵津子ちゃんが目ざとく私の手の中のくじの番号を読取り、嬉々として私の腕をあげた。 はじまりの時と同じく、歓声があがる。 カップル成立だのなんだの。 ああ、そうだねカップル成立だね。期間限定ですけどね。 この時ばかりは恵津子ちゃんにたいして本気で殺意が湧いた。
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