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「にゃ~!大変だよ弥生ちゃん!!今携帯にメリーさんから電話が!!」
今日も事件はこの子から。
あたし、睦月弥生(むつきやよい)の幼なじみ、八葉智央(やつはちお)には、霊感があるらしい。
昔から「あ~!弥生ちゃん、弥生ちゃん。あそこに頭が無い人がいるよ~?」なんかは日常茶飯事だった。
ただ見えるだけだったが、この子は可哀想と言っては妖怪達にかまうのだ。
ほっときゃいいのに、「頭探してあげないとあの人今日ご飯食べれないよぉ」と近づいては、
『お前の首を寄越せ~!!』
となる訳だ。
あたしも昔は見えなかったんだけど、智央と一緒に居るうちに所謂“霊感”とやらが 身についたらしい。
いつの間にか「はいはい、あなたの首はこれでしょ」
「あ~見つかったの?良かったねぇ」
『おい、どう見てもこれ違うだろ』
「そんなこと無い。お似合いですよ、鹿の剥製」
『どっから取り出したんだあぁぁぁ……』
「あれ?弥生ちゃん、あの人消えちゃったよ?」
「あ~頭見つかったから成仏出来たんだよ。良かった良かった」
とこれがテンプレだった幼少期。
あいつらは寂しいんだ。
だから自分を見てくれる、相手をしてくれる智央に集ってくる。あの子の優しさに付け入るようなまね、あたしが許さない。
見えるだけ、で充分あいつらと闘えるんだ。
ゆとり教育舐めんなよ!
「弥生ちゃ~ん!!」
「はいはい」
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