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とっとこー♪
……………。
『もしもs「走るよ公太郎!!」……え?』
鳴り響いた智央の携帯に歌詞の続きを叫ぶ。
そして切った。
「……え?弥生ちゃん……どんな暴挙に出ちゃってんの?!」
「いやー用件聞かなきゃいいんじゃね?みたいな」
『いや、無理があるだろ』
電話口のツッコミにニヤリと笑う。
あいつが先に口を開いた。
「はい、お前の負け~」
『うぉわぁっ、しまった!!』
「え?何か勝負してたの?え、ていうか誰と電話してるの?」
きょとんと聞いてきた智央にどう言っていいかと苦笑い。
いや、なんと言いますか、アレだよ。
ジョギングしてたら、息子の中学のジャージ着たオバサンにぬかされたから、追い越したらなんかそのオバサンがまた追い越してきてってそれを別れるまで繰り返し、その次からオバサンと会うたびに無言の仁義なき闘いが習慣になった、インフルで休んでる間に、勝手に駅伝の選手に決められててホントは当日サボろうかと思ってたけど、でも負けたら体育会系のイケイケの奴らにどやされるから、泣きそうになりながら走った体育祭前。
……一人だったら確実に泣いていただろう。
けど、オバサンが居たから……オバサンと競い合ったから、あたしは……あたしは…………。
結局クラスの足を引っ張り、
「ねぇ、なんで今日学校来たの?ねぇ、ねぇ?!…………ハァー……もういいよ、次のクラス対抗のムカデ競争、人数少ないほうが早いから今から帰って」
……あたしは涙をこらえて先生に「お腹痛い」
と言って帰った……。
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