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また、佐久と同じような少女たちもたくさんいた。大王の身の回りの世話をする、采女たちだ。
少女たちは一様に美しい。玉のような肌に、濡れ羽色の髪。どれをとっても、佐久の故郷ではなかなか見れぬ。
彼女たちは自らの輝きを誰よりも知っていた。それ故に、佐久の美しさをねめつけるように見るのだ。
少女たちは故郷から遠く離れた地にいるからといって、気弱になるような性質の者ばかりではない。
逆にこれを良い機会だと捉え、大王の寵愛を得ようとする野心溢れる女たちも多い。
佐久は突き刺さるような視線から、敏感に感じ取る。
少女たちは佐久を品定めしていた。取るに足らない者なのか、それとも己の邪魔をする者か。または、強大な力を持つ者なのか。
「ねえ、奈津。私たち、随分遠いところまで来てしまったのね……」
父母のいる地から、連れてきたのはただ一人の気心の知れた童女である。
その他には、全くと言って良いほど知り合いのいないこの地に、佐久はあらためて不安を覚えた。阿佐もこのような心地だったのだろうかと考えてしまうのだ。
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