十冊目。

4/6
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
長い蜂蜜色の髪にはくせっ毛のように軽くウェーブがかかり、くりくりとした大きめな赤い瞳を際立たせるように肌は白く…実際、一番初めに彼女を見た時は息を飲んだ。 昔から義務のような書き綴った自作小説の主人公そのものの容姿に。 アリスを失い嘆いた白うさぎが世界の誰より彼女を幸せにしようと数多の夢を見させるストーリー。 それが現実のものになっていくような、夢と現実がごちゃまぜになっていく、…不安。 あまつさえ彼女は自ら好んで着ているのであろう不思議の国のアリスの衣装を普段から着用しているのだ。 これが夢で彼女も幻覚なら俺は相当の病人らしい…。 ああ、やはり俺は子育てに向いてないのかもしれない。 ’一番初めに買い与えたものがパソコンな時点で気づけ’ 疾風、君の言う通りだったよ。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!