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「影都は、最低な奴じゃない…」
顔が見えず、目の前で庇うように立っている姫乃の顔はどんな表情なのかは分からない。でも、親衛隊が青ざめているところから恐ろしい顔をしているのだけは伝わった。
「な、何言って…こいつは菖蒲様を悲しませた奴一一一」
「何度も言わなくても理解してる……でも、悲しませたのは俺じゃない……
影都だ………」
「…………」
「冷静になってみれば、簡単に分かる事だった…
影都がどんな奴なのかも、どんな思いをしてたのかも………」
肩を震わせながら、クルッと体を振り向かせる。その表情はやっと自分の間違いに気付けてスッキリしたような顔だった。
「今更…こんな事言うのは都合良過ぎるけど……
影都、ごめんなさい…!」
「…!姫乃……」
しっかりとした口調、裏表を感じないちゃんとした謝罪。少なくとも俺は、彼が口から出任せしてる感じには思えなかった。
そして、謝罪している彼の背後では驚きの表情を浮かべる親衛隊。
「今まで本当に…ごめんなさい
許せなんて言わない!でも、今度はちゃんと…本当の意味で友達になりたい!」
「……顔、上げて……?」
ビクッと肩を跳ねる姫乃。きっと俺が怒ってて、これから殴られると思っているんだろう。
ナデナデ
「え……?」
「……いい子、よく……出来た………」
俺は頭を撫でてやった。姫乃は口を開いて固まったけど……
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