9415人が本棚に入れています
本棚に追加
龍二side
姫乃の言葉を聞いて、傷付いたように俯く影都を見て俺は胸を痛める。
あの関西弁が言っていた事が本当なら、俺はなんて身勝手なやつだったのか身に染みた。
あいつは俺と居れるだけで良かったんだ…ただ、俺の隣に居られるだけで幸せだったんだ。
「………くそっ」
どうしたらいい?今更謝ってももう遅いだろう。
俺といるより、他の奴といる方があいつは幸せかもしれない。けどやっぱり、諦めたくはなかった。
抱き締めてやりたい、キスしてやりたい、一緒にいてやりたい……
俺の中には影都の事しか頭になかった。頭では分かっていても、いざ行動に移すのは簡単じゃない。
ふと、腕を掴まれる感覚がする。視線を辿れば姫乃が俺を睨み付けていた。
「龍二……あんな酷い奴等の所に行くな!」
「………姫乃、悪いが俺は一一一」
離そうとしても力を強くして姫乃はしがみついている。
「ダメだ!!あいつらは酷い奴等なんだ!」
「姫乃……離してくれ」
「やだやだやだ!」
離す気配もなく、しまいには泣き出してしまう姫乃。いつもなら気にしない我儘だが、この時ばかりはイラッとした。
……影都に会いたい
最初のコメントを投稿しよう!