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墓地は大抵町はずれにあるものだが、このシシロも例外ではない。
国境でもある高い壁の真下に、打ち捨てられたように墓地と墓守の掘っ立て小屋がある。この墓地が見捨てられているのは、常に塀の向こうにいる敵と隣り合わせにあることだった。いつ攻撃を仕掛けられてもおかしくないという、危険に誰も冒険したくないのだ。
そんな墓地に、最近幽霊が出るという。
噂の発端は墓地の住人である墓守だが、その墓守もある日死んでしまった。
死因は心臓発作だという。彼は相当年寄りだったから、寿命だったのかもしれない。
しかし、それで幽霊騒動は終わらなかった。
深夜、街中で幽霊を見たという人が多発したのである。
その幽霊は、真っ白なドレスを着て、振り返ると大きな目が金色に光るのだという。
更に、街中で悪魔らしき姿までもが現れ、この町は荒れ果てようとしていた。
町人はこの町を守る【生命の木】が枯れ始めていることに気がついていたが、策が見つからずに頭を抱えていた。
物語は、この危機的状況にある町に、一人の旅人が訪れるところから始まる。
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