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「…アルク。…お前は…強い子だ…。だから…、これしきの…事で…泣くな。」
お父さんは、苦しそうだった顔をニコリと緩め、優しく話しかけてきた。
「……ゴホッ…。強い男は…簡単に泣いたらダメだ…。…男が泣いて良いのは…、本当に…嬉しい…時だけだ。」
「で、でも…、僕は強くないよ!僕は…」
只の子供だよ、と言おうとした次の瞬間…
「そんな事…ないわ…。アルクは強い…子よ…。」
お母さんが手を伸ばし、僕の頭を撫でながらそう言ってくれた。
「…だからほら…、泣き止んで…ちょうだい…。いつもみたいに…笑顔を見せて…。」
そう言って、お母さんはいつものように優しい笑顔を浮かべた。
それは子供の僕でも、僕を元気づけるためだと分かった。
「う、うん。」
肩を震わせ嗚咽を漏らしながらも無理やり涙を押さえ込む。
「僕、泣かないよ…。…ほら…。」
僕は泣くのをやめ、ひきつった笑顔で答えた。
それでも二人は、僕の不器用な笑顔を見て満足そうに微笑んでくれた。
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